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第18回 石野郁和

石野郁和 《Untitled》〈Melon Cream Soda Float〉より 2017年
インクジェット・プリント 作家蔵

 

重大であいまいな現実と向き合うために

 

自分が置かれた状況を認める行為は、どこか服選びに似たところがある。ディスプレイに惹かれて試着するも、自分が着ると全然違ったり、体型にあった服を探せば、理想とはかけ離れたアイテムばかり......現実は残酷だ。某通販サイトが、体型を正確に測定できるボディスーツを提供して話題となったが、直視したくなくて手が出せないでいるのは、きっと私だけではないはず。

ましてや、自分がとりまく世界をありのままに理解し受け入れるには、少なからず勇気がいるのは当然のことといえるだろう。同じ光景でも、見る者が持つ心や価値観によって受け取り方は全く異なるのだから、ことはより複雑だ。

東京都写真美術館が年に一度開催する「日本の新進作家」は、写真や映像の可能性に挑戦する有望作家発掘のために設けた展覧会シリーズ。現在開催中の「小さいながらもたしかなこと 日本の新進作家vol.15」に参加するのは、現実と、心や価値観との間に生じるギャップや軋轢といった問題に果敢に挑む作家たち5名(森栄喜、ミヤギフトシ、細倉真弓、石野郁和、河合智子)だ。彼らがテーマとする家族やセクシャリティ、国籍や人種、人間や自然といった問題は、展覧会名とは逆説的に個々人にとってはもっとも重大で、恣意的であるがゆえにあいまいなことばかり。作家たちがこれらの問題にどう切り込み、イメージに結実させているのか? テーマだけでなく、表現の可能性にも注目したい展覧会だ。

小さいながらもたしかなこと
日本の新進作家vol.15
会場:東京都写真美術館 2階展示室
会期:〜2019年1月27日(日)
TEL 03-3280-0099
URL https://topmuseum.jp

 

文・富田秋子
フリー・エディター&ライター。展覧会や文化メセナにおけるカタログ編集やWebサイトの制作を行うほか、「Vogue」「Numero」等の雑誌メディアを中心にアート関連の記事を執筆しています。

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