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第17回 金仁淑(キム・インスク)

キム・インスク《 息子と私》〈 サイエソ:はざまから〉より 2008年 東京都写真美術館蔵 ©金仁淑

 近所にやんちゃ盛りの甥っ子・姪っ子が住んでいるおかげで、日々「なんで?どうして?」攻撃を受けている。疑問の対象は宇宙の真理から大人の事情まで......なんでもおかまいなしに聞いてくるから、本当に侮れないのだ。日本の夫婦同姓がわりと最近に定着した制度であると知ったのも、「なんで結婚すると女の人だけ名前が変わるの?」と聞かれて、ネットで検索したからだった。

 結婚にまつわる習慣は、考えることなく前例に従ってしまう筆頭に違いないが、そこに着目して自身の結婚を作品にしてしまったのが、金仁淑の「リアルウェディング」(2008年)だ。大阪で育った在日韓国人である彼女は、披露宴を日本と韓国で行い、写真と映像に収めているのだが、フェイクのしきたりを盛り込んだところ、本当の伝統だと思い込んでしまった鑑賞者もいたのだそう。在日というレッテルばりを免れない環境に育ちながらも、アイデンティティや国籍の問題にポジティブに取り組むしなやかさは、新進の現代アーティストたるゆえんであると言えるだろう。

 「愛について アジアン・コンテンポラリー」展は、金仁淑のほか、ホウ・ルル・シュウズ(台湾)、キム・オクソン(韓国)、須藤絢乃(日本)、ジェラルディン・カン(シンガポール)、チェン・ズ(中国)ら世界の第一線で活躍するアジアの女性作家が集うグループ展。知っているようで知らない私たち自身の事柄を気づかせてくれる、貴重な機会となりそうだ。

愛について アジアン・コンテンポラリー
会場 東京都写真美術館 2階展示室
会期 10月2日(火)~11月25日(日)
TEL 03-3280-0099
URL https://topmuseum.jp

文・富田秋子
フリー・エディター&ライター。「愛について アジアン・コンテンポラリー」では展覧会公式サイトを開設(www.aboutlove.asia)し、作家インタビューなどを掲載するほか、SNSアカウントでも随時情報を発信しています。ぜひチェックしてみてください!

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