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第10回 小林のりお

「写真×東京」のケミストリー

小林のりお《東京都八王子市南大沢》1984年東京都写真美術館所蔵

 アメリカの有名旅行雑誌「コンデ・ナスト・トラベラー」が読者投票をもとに発表する《世界で最も魅力的な都市ランキング》で、東京が前年度の15位から大幅に順位をあげて、2016年度の第1位を獲得した。その記事には「超現代的なネオンの高層ビルから、静かな寺院、歴史的な神社、広大な森林まで、相矛盾する要素が混在......」とあって、そんな多面性が大きな魅力となっていることがよくわかる。しかし、容赦のない変化の速さで、街も人も混沌の波にさらされているありさまだから、誰もが納得する東京らしさなんてありえないし、まして一つのイメージに象徴させることは不可能と言っていいだろう。そして、おそらく、だからこそ多くの写真家たちが魅了されてきたのだ。

 東京都写真美術館のリニューアル・オープン後初となるコレクション展『TOPコレクション東京・TOKYO』では、これまで収集してきた「東京を表現、記録した国内外の写真作品」のうち、戦後から現代の作品が中心に紹介されている。森山大道、ホンマタカシ、林ナツミ等々の、新旧作家それぞれの個性が並ぶなか、80年代郊外の開発風景を撮影した小林のりおの作品が、現代の写真環境を予見するような作風となっていて、興味深い。世界中どこにでもありそうな風景を選び、撮影者の主観や心情を極力排除するような撮影方法をとっているのだ。東京という地で写真にしかできない表現を追求したら?という問を設定したなら、その答えの一つはこんなイメージになるのかもしれない。

TOPコレクション 東京・TOKYO
会場 東京都写真美術館 3階展示室
会期 〜2017年1月29日
URL https://topmuseum.jp

文・富田秋子
エディター&ライター。美術館職員、雑誌編集者を経てフリーに。主に美術・写真の分野で雑誌や美術館広報誌に寄稿する他、展覧会や企業文化メセナのサポート、カタログ制作などを行う。

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