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人はみな心に「14歳の夏休み」を宿して生きていく。

 もう子どもじゃない。でもまだ大人じゃない。「14歳」は、いままでもたびたび映画や小説のテーマになってきた。大人に近づきたいと背伸びをしてみるが、大人のズルさを知って傷ついてしまう。世間は「もう子どもじゃない」と言い、「そんなことはまだ早い」と言う。「中2病」は、伊集院光が発明した言葉というが、言い得て妙だ。

  ミシェル・ゴンドリーの最新作『グッバイ、サマー』はフランスの14歳の少年2人の物語。絵を描くのが得意なダニエルは、髪が長くて女の子のよう。クラスメイトからは「ミクロ(ちび)」と呼ばれ、恋するローラは相手にしてくれない。家では兄弟や過保護な母親が鬱陶しい。そんなある日、転校生テオがやってくる。機械いじりが好きでガソリンの匂いを漂わせ、マイケル・ジャクソンのようなライダーズジャケットをいつも着ている。風変わりなテオとダニエルは意気投合、親友になる。2人は廃材をかき集めて「夢の乗り物」を作り、夏休みに旅に出るーーー。しょっちゅう女の子に間違われ、画家を目指していた14歳の頃のゴンドリーの自伝が基。なるほど、「独創的」といわれる彼の世界観の根っこはここにある。

  人間は永遠に14歳ではいられないが、入れ物は老いても中身は14歳でいることはできる。というか、みんなそういうものなんじゃないかと思う。自分のことを考えれば、14歳のときに読んだ本、14歳のときに夢中になった音楽、映画、40歳を過ぎたいまもそれを中心にぐるぐる回っている。人間は永遠に「中2病」を抱えて生きていくのだ。

47cinema_1.jpg「グッバイ、サマー」(C)Partizan Films- Studiocanal 2015

グッバイ、サマー [9月10日(土)公開予定]
監督:ミシェエル・ゴンドリー
出演:アンジュ・ダルジャン/テオフィル・バケ/オドレイ・トトゥほか
場所:YEBISU GARDEN CINEMA(恵比寿三越となり)
TEL:0570-783-715 http://gardenplace.jp/cinema

文・辛島いづみ
フリーの編集者&ライター。スチャダラパーと一緒にインディーズ雑誌「余談」を作ったり、雑誌「GINZA」で連載中の「岡村靖幸 結婚への道」を担当したり。9月待つに開催するいとうせいこう主宰「せいこうフェス」のパンフもお手伝い中。

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