YEBISU STYLE

online

世界中の人々に捧げる結婚コメディ。

 パリへ初めて行ったのは30歳になる前のこと。遅めのパリデビューは、高校生の頃に『オリーブ』を愛読していたせい。ノイローゼになるほどフランスに傾倒し、妄想のパリを自分内に完璧に描いていたゆえ、本当のパリを知るのがちょっと怖かったのだ。

 心配は杞憂だった。長年頭に叩き込んできたパリの地図はその通りだったし、パリジェンヌのサバサバとした気質も想像通り。ただ、改めて実感したのは、フランスは多民族国家だということ。ケルト系やゲルマン系、ラテン系などの"フランス人"に加え、ユダヤ系、イスラム系、アフリカ系、アジア系の"フランス人"も多い。先日のテロ事件も、人種のるつぼだからこそ、それを許容する社会だからこそ、起こってしまった悲劇だったのかもしれない。

 『最高の花婿』は、「異人種間結婚が世界一位」というフランスの"結婚事情"を描いたコメディだ。ロワール地方に暮らすヴェルヌイユ夫妻には4人の娘がいる。しかし、パリへ行った娘たちはそれぞれアラブ人、ユダヤ人、中国人と結婚。最後の末娘もアフリカ人と結婚することに......。

 宗教により食べるものが違う、仕来りが違う。保守的なヴェルヌイユ夫妻は戸惑いながらも必死に"異人種"の婿たちと折り合おうとし、婿たちもお互いをディスり合いながらも理解しようとする。笑ったのは「キリストは神の子よ」というヴェルヌイユ夫人に頷きつつ「いや、預言者の一人だよね」とユダヤ人とアラブ人の婿が夫人の背後で同意するシーン。世界中がみんなこうだと平和になるはずなのだ。

46_cinema.jpg(C)2013 LES FILMS DU 24 -TF1 DROITS AUDIOVISUELS - TF1 FILMS PRODUCTION

YEBISU GARDEN CINEMA オープン1周年記念作品
最高の花婿 [公開中]
監督:フィリップ・ドゥ・ショーヴロン
出演:クリスチャン・クラヴィエ/シャンタル・ロビー/フレデリック・ベル/メディ・サドゥアン/ジュリア・ピアトン/アリ・アビタン/エミリー・カーンほか
場所:YEBISU GARDEN CINEMA(恵比寿三越となり)
TEL:0570-783-715 http://gardenplace.jp/cinema

文・辛島いづみ
フリーの編集者&ライター。雑誌「GINZA」で好評連載中の「岡村靖幸 結婚への道」が単行本に。一度も結婚をしたことのない岡村ちゃんが32人の結婚経験者(あるいは独身主義者)に「結婚とは何か?」を聞きまくった対談集です。

YEBISU STYLE 最新号

YEBISU STYLE最新号は恵比寿ガーデンプレイス内各エリアで入手することができます。また、WEB上でもご覧いただくことができます。

最新号はこちら