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第20回 山沢栄子

アブストラクト写真に表れる迷いのない生き様

山沢栄子 What I am doing No 24 1982年

 日本における女性写真家の草分けと言われる、山沢栄子(1899〜1955)。彼女のもっとも特徴的な表現スタイルは、"アブストラクト写真"と呼ばれる、被写体のフォルムや物質性を活かして抽象表現を行う手法だが、山沢はモノクロおよびカラー写真でも優れた作品を制作し、またプリントの上からペインティングを施すなど、型にはまらない手法も積極的に取り入れた。もっとも精力的に制作していた70〜80年代は、欧米でニューカラーのムーヴメントがおこってはいたもののドキュメンタリーや風景が主だったし、日本においては社会はのリアリズムやスナップ写真の美意識が主流だったことを思い起こせば、彼女がいかにユニークな存在だったかがわかるだろう。

 経歴も並外れている。油絵を学ぶために単身渡米したのが、1926年(昭和元年)。サンフランシスコの美術学校で学びながら、写真家の助手となって技術を習得した。帰国後、31年に大阪で写真スタジオを開設。大戦後にアメリカを再訪問した際、多くのインスピレーションを得て、抽象的な写真表現を開始したという。

 東京都写真美術館で開催される「生誕120年 山沢栄子 私の現代」展では、《What I Am Doing》を含めた代表作とともに、経歴をたどる資料も出展される予定だ。彼女の作品が抽象的でありながら、きっぱりとした意思を湛えているように感じられるのは、迷いのない生き様が表れているからではないだろうか? そんな疑問の答えはきっと、展示に表れていることだろう。

生誕120年 山沢栄子 私の現代
会場:東京都写真美術館 3階展示室
会期:11月12日(火)〜2020年1月26日(日)
TEL 03-3280-0099
URL https://topmuseum.jp

 

文・富田秋子
フリー・エディター&ライター。展覧会や文化メセナ関連の図録・Webサイトの制作、雑誌への寄稿などを行なっています。最近のメディアでのお仕事は、『Numero』誌11月号のフォトギャラリー「写真家が切り取る幸せの瞬間(仮)」です。

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