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人間は誰にでも欠点はある。

 自分と違う意見は徹底的に排除する世の中である。SNSではいつも誰かと誰かがいがみ合い、ヘイトの感情が渦巻いている。寛容のない世界になったとつくづく思う。ああ、世界中の人がこの映画を観ればやさしくなれるのに。本作を鑑賞して、単純にそう思った。

 マルコはスペインのプロ・バスケットボールチームの副コーチ。ある日の試合でヘッドコーチと意見が合わず激しいケンカをした上に、飲酒運転で交通事故を起こし、簡易裁判にかけられてしまう。裁判官から言い渡されたのは免許停止と社会奉仕活動。知的障がい者のバスケットボールチーム〈アミーゴス〉のコーチを命じられるーー。

 仕事もプライベートもうまくいかない男が、知的障がい者たちと触れあうことで「本当に大切なこと」 に気づく。シノプシスを簡単に言うとそういう映画だ。でも、これを単なる感動ものではなく、コメディとして描いているのが本作のいいところ。そして、知的障がい者を純真無垢な天使のような存在として描かず、彼らと私たちに「違い」なんてないということを、主人公のマルコとともに観ている私たちにも気づかせる。人間は誰しも欠点があり、完璧な人間なんて存在しないのだと。

 マルコを演じたハビエル・グティエレス以外、主要キャストは全員無名の知的障がいを持つ"俳優"たち。スペインの「ゴヤ賞」で作品賞などを受賞し、アカデミー賞を始めとする世界各国の映画祭でもノミネートされたり受賞したりしている。でも、なにより素晴らしいのは、スペイン国内で2018年の自国映画年間興収NO.1を獲得していること。日本の映画界では到底考えられないことだと思う。悲しいけれど

YS59_cinema1.jpg©️Rey de Babia AIE, Peliculas Pendelton SA, Morena Films SL, Telefónica Audiovisual Digital SLU, RTVE

だれもが愛しいチャンピオン 12月27日(金)公開
監督:ハビエル・フェセル
出演:ハビエル・グティエレスほか
場所:YEBISU GARDEN CINEMA 恵比寿三越となり
TEL:0570-783-715
http://gardenplace.jp/cinema
 
文・辛島いづみ
フリーの編集者&ライター。スチャダラパーの責任編集のインディーズ雑誌『余談』、せきしろの小説などを編集。他に『GINZA』『POPEYE』『BRUTUS』『文春WOMAN』などでも執筆中。

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