YEBISU GARDEN PLACE

  • 文字の大きさ標準サイズ
  • 文字の大きさ拡大サイズ

YEBISU STYLE

online

第19回 W.ユージン・スミス

W.ユージン・スミス 《夜通しで手術を行った後、台所で休むセリアーニ医師、コロラド州クレムリング 1948年》〈カントリー・ドクター〉より 1948年
©︎2019 The Heirs of W. Eugene Smith / PPS

 

その時、その場所でおこった、真実の物語

 

映像の世紀と言われた20世紀。フォト・ジャーナリズムやドキュメンタリーの隆盛は欧米からはじまり、有名写真家が数多く登場したが、アメリカ出身のW.ユージン・スミスは、もっとも日本と深い結びつきをもった一人だった。第二次世界大戦時、20代だった彼はアメリカ軍の従軍写真家として沖縄や硫黄島に同行するが、1945年には日本軍からの砲弾による爆風で全身に重度のやけどを負ってしまう。時を経て、60年代に企業の依頼によって来日し、その後、日本人女性と結婚。70年代には、水俣病を取材した作品を写真週刊誌『LIFE』に発表した。環境汚染でひきおこされる人間の悲劇は、この場所でおこった現実であると同時に、世界がともに考えるべき問題であることを示したのだ。

「TOPコレクション イメージを読む 場所をめぐる4つの物語」展で紹介される〈カントリー・ドクター〉は、従軍による怪我から復帰したスミスが、コロラド州の小さな町で診療をするたった一人の医者、アーネスト・セリアーニを追ったフォト・エッセイ。日々責任を全うする一人の人間と、名もなき、しかし唯一無二の人生を送る人々との日常をとらえた本作は、1948年に『LIFE』で発表された後も、歴史にのこる傑作として幾度となく参照されてきた。その他、奈良原一高や内藤正敏、山崎博の重要な仕事が出展される本展は、その場でのみおこる真実をとらえる、そんな写真メディアの力強さをあらためて知る絶好の機会と言えるだろう。

TOPコレクション イメージを読む 場所をめぐる4つの物語
会場:東京都写真美術館 3階展示室
会期:〜2019年8月4日(日)
TEL 03-3280-0099
URL https://topmuseum.jp

 

文・富田秋子
フリー・エディター&ライター。展覧会や文化メセナ関連の図録・Webサイトの制作・編集を手がける他、雑誌ではアート関連の記事を中心に執筆。最近のお仕事は、Vogue誌6月号掲載クリスチャン・ボルタンスキーのインタビュー等。

YEBISU STYLE 最新号

YEBISU STYLE最新号は恵比寿ガーデンプレイス内各エリアで入手することができます。また、WEB上でもご覧いただくことができます。

最新号はこちら
ページTOP