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25年前、旅先で覚えたじゃがいもパンケーキ

南ポーランドのザコバネという町に二週間滞在したことがある。そこはスロバキアに隣接した高原にあり、豊かな森には美しい木々の葉がサラサラと揺れていた。森の中に点在するのは木彫りの装飾が施されたザコバネ様式と称される家々。この町を訪れたのは、それらを造る大工たちが住む村の暮らしを取材するためだった。連日、彼らが仕事を始める夜明け前から仕事が終わる夕刻まで、時にはウオッカを一気飲みする夜まで、彼らにつきまとって撮影を続けた。

撮影のなかったある日、ザコバネ様式の家が並ぶ住宅地を散策していると、開け放したドアの奥に女性が見えた。「大工さん家だけじゃなくて普通の人の暮らしも見てみたい」 私が洩らしたひと言に通訳が反応。許可を取ってくれ、突撃訪問することができた。ドアを入るとキッチンがあり、女性の傍らにある皿の上には、コロッケみたいなものがたくさん載っていた。それを見て反射的に「プラツキです」と通訳。プラツキとはジャガイモで作るパンケーキ。ポーランドの国民的な料理だとういう。

おろし器でジャガイモと玉ねぎをすりおろす。卵と小麦粉、塩を入れて混ぜ合わせる。フライパンに油を熱し、両面をこんがりと焼き上げる。

女性は突然の訪問者を迷惑がりもせず、プラツキの作り方を実践してくれ、試食もさせてくれたのである。通訳はパンケーキといったが、私の感覚では韓国料理のチジミに似ていた。そして、それが、感動的な美味しさだった。1994年、25年前の出来事である。

帰国して再現。夫に好評を得た。図に乗ってなんども繰り返すうち、キャビアとブリニ(そば粉で造るロシアのパンケーキ)の代わりにイクラとプラツキもイケルんじゃないか?と思いつき、やってみたら大成功。今でも好評を博している。ポーランドのレストランではシチューなどの料理とともに登場するのだが。

 

プラツキ
作り方

① ポテト中3個、タマネギ中1/2個の皮をむき、チーズおろし器で粗めにおろしてボウルに入れる。
② ①に卵1個、小麦粉大さじ2、塩少々加えて混ぜ、プラツキのタネを作る。
③ オリーブ油を熱したフライパンにプラツキのタネを入れ、両面をこんがりと焼く。(コロッケみたいな形を6個〜8個)
④ サワークリームを塗って、イクラ、タラモサラタ(日本式:マッシュポテト+タラコ+マヨネーズ)、スモークサーモンなどをのせて食べる。(懐に余裕のある方はキャビアをどうぞ)

 

こぐれひでこ
イラストレーター&「食」「暮らし」に関するエッセイストとして「読売新聞」「MY LOHAS / ごはん日記」などに執筆中。庭の雑草にまみれて、わずかな野菜が育つ。春から夏にかけて、菜の花、ソラマメ、アーティチョーク、ナスやキュウリやズッキーニなど、採れる種類は色々。生で、蒸して、揚げて、煮て、うまい!うまい!と喜ぶ日々、見てくれは悪くても採りたて野菜は格別の味わい。

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