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同じ男を愛した男と女の物語。

ベルリンで小さなケーキ店を営むトーマス(ティム・カルクオフ)は腕のいいパティシエ。店の常連客オーレン(ロイ・ミラー)に「同じ匂い」を感じ、いつしか愛し合う関係となる。しかし、オーレンには家族がいた。彼はエルサレムに妻子を残し、ベルリンに単身赴任をするイスラエル人。たまに妻子の元へもどる際にはトーマスのクッキーを必ず持ち帰っていた。あるとき、オーレンはいつものようにイスラエルに一時帰国をするが、1ヵ月をすぎてもベルリンには戻ってこなかった。不安を覚えたトーマスは、オーレンの職場を訪ねるが、オーレンは事故に遭い死んだと告げられる。オーレンの幻影をおうトーマスは、エルサレムにある妻アナト(サラ・アドラー)のカフェを訪れる。何も知らないアナナトは、「カフェで働きたい」というトーマスを受け入れることにする。

 同じ男を愛した男と女が巡り会う物語であり、ドイツ人とユダヤ人の異文化交流の物語でもあるのが面白い。敬虔なユダヤ教徒は週に一度の安息日を大切にし、日々の食事はコシェルとよばれる宗教上の食物規定に沿って朝露をする。ゆえに、レストランやカフェはコシェルの認定を受けるのが半ば義務であり、異教徒のつくるものは口にしないのだが、トーマスのクッキーやケーキはエルサレムの人々を魅了し、アナトも彼自身に愛情を抱くようになる。しかし、「夫が愛していた人」のことについても気づいてしまう。

 性別も人種も宗教も。愛はそのすべてを乗り越えることができる。それがオフィル・ラウル・グレイツァ監督のメッセージであろうと思う。切なく、甘く、あたたかなラストに拍手を。

YS57_cinema.jpg©️All rights reserved to Laila Films Ltd.2017

彼が愛したケーキ職人 12月1日より公開
監督:オフィル・ラウル・グレイツァ

出演:ティム・カルクオフ / サラ・アドラー / ロイ・ミラー / ゾハル・シュトラウス

場所:YEBISU GARDEN CINEMA 恵比寿三越となり

TEL0570-783-715

http://gardenplace.jp/cinema

文・辛島いづみ
フリーの編集者&ライター。スチャダラパーの責任編集のインディーズ雑誌『余談』、せきしろの小説『海辺の週刊大衆』の文庫版などを編集。他に『GINZA』『POPEYE』『BRUTUS』『Fine』などでも執筆中。

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