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すべては「美味しい」の顔を見るために。

 「すきやばし次郎」で食べたことはないが、地下街の店の前は通ったことがある。山本益博氏がジョエル・ロブション氏を連れて行ったとき、「ヨーロッパの一流店は地下にはない」と驚いたというが、どんなに名声を得ても「すきやばし次郎」は地下のままだ。

 『世界が愛した料理人』は、「すきやばし次郎」の小野二郎と、スペイン・バスク地方のレストラン「アスルメンディ」のオーナーシェフ、エネコ・アチャの姿を通して、「料理とは何か」に迫るドキュメンタリーである。

 エネコは" エネコシステム"と自らが呼ぶ「持続可能な循環型システム」をレストランに取り入れている。つまり、店の敷地内で食材を育て、それを調理して提供し、生ゴミは堆肥にして再び作物を育てる、というサイクルのこと。バスク地方の豊かな自然の中、ガラス張りのレストランがポツンと建っているのは、それを「見せる」ことも含めての料理、ということなのだ。

 大都会の地下にある次郎と、大自然に囲まれたアスルメンディ。日々「おなじこと」を続けることで極めようとする小野二郎と、料理好きの祖母や母、バスク人としてのDNAを受け継ぎ料理を「クリエイション」するエネコ。ふたりの個性やアプローチは違うが、食べてくれる人に喜んでもらいたい、その一心で料理を作っていることは両者に共通している。オバマ大統領が次郎を訪れたとき、「すしをほとんど食べなかった」という話がまことしやかに流れたけれど、実際はそうではなかった。「マグロの握りをほおばるたびに、ウィンクしてくれるんですよ」と小野二郎はうれしそうに語っている。

 美味しいものが食べたくなった。

ys56_cinema01.jpg© Copyright Festimania Pictures Nasa Producciones, All Rights R eserved.

世界が愛した料理人 9月22日(土)公開
監督:アンヘル・パラ、ホセ・アントニオ・ブランコ
出演: エネコ・アチャ「アスルメンディ」/マルティン・ベラサテギ「ラサルテ」/カルメ・ルスカイェーダ「サンパウ」/ジョエル・ロブション「ジョエル・ロブション」/石田廣義・石田登美子「壬生」/山本征治「龍吟」/小野二郎・小野禎一「すきやばし次郎」
場所:YEBISU GARDEN CINEMA 恵比寿三越となり
TEL:0570-783-715 http://gardenplace.jp/cinema

文・辛島いづみ
フリーの編集者&ライター。スチャダラパー責任編集のインディーズ雑誌『余談』、せきしろの小説『海辺の週刊大衆』の文庫版などを編集。他に『GINZA』『POPEYE』『BRUTUS』『Fine』などでも執筆中。

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