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気鋭のクリエイターに聞く、 心に残る「愛の物語」。

愛の定義も愛のかたちも人それぞれ。 気鋭のクリエイターたちの心を震わせた「愛」とは?

冨永 愛さん/モデル

旅をする木

ys57_creatorspick_1.gif『旅をする木』 星野道夫
文春文庫 価格:¥551


知ることで想いを馳せる、という愛し方を教えてくれた。
写真家の星野道夫さんが、アラスカでの日々を綴ったエッセイです。なかでも私は、「あわただしい、人間の日々の営みと並行して、もうひとつの時間が流れていることを、いつも心のどこかで感じていたい」という文章が好きです。以前、取材で訪れたボルネオ島は、アブラヤシの植林のため熱帯林が失われ、野生動物が絶滅の危機に瀕していました。アブラヤシは、私たちが使う化粧品や食料品の原料となるもの。どうすればいいのだろう。そう思っていたときこの本に出会い、「知ることによって、思いを馳せることができる。それだけで違うんだ」と気づき、救われたように感じました。この本は星野さんの自然に対する、大きな愛の物語だと思っています。

とみなが あい
今回表紙、および巻頭企画で圧倒的な存在感を示してくれた。世界の第一線でトップモデルとして活躍し、現在はモデルの域を超えた活動を展開中。

島津由行さん/スタイリスト、ファッションディレクター

ラヴ

ys57_creatorspick_2.jpg『ジョンの魂』 ジョン・レノン(「ラヴ」収録アルバム)
発売元:ユニバーサル ミュージック 価格:CD¥2,880


究極にシンプルな愛の歌を人生をかけて理解していく。
 愛といえばジョン・レノンの「ラヴ」。ビートルズとジョン・レノンは僕の音楽の原体験。7つ上の兄の影響もあって、初めてこの曲を聴いたのは中学1年生ぐらいの時。当時は歌詞の意味はさっぱりわからなかったんですけどね。歌詞は松尾芭蕉に影響を受けたと言われていて、究極にシンプルですよね。シンプルだけど深い。人生を通して聴き続けながら、愛の現実と真実が徐々に理解できていっている感じがします。僕、今還暦でまだまだ洟垂れですけど(笑)、80歳ぐらいになればわかるのかな。「ラヴ」で歌われているのは身近な人への愛。全人類を愛するとかって、僕はあんまり信用できない。一番大事なのは、家族とかパートナーへの愛なんじゃない?

しまず よしゆき
スタイリスト、ファッションディレクター。今回冨永愛さんのスタイリングを担当。広告、ファッション誌等で活躍する他、音楽に精通し、DJとしても活動。

小池アミイゴさん/イラストレーター

恋文

ys57_creatorspick_3.jpg『恋文・私の叔父さん』 連城三紀彦
新潮文庫 価格:¥562


映画「恋文」(神代辰巳監督)の原作を収録。連城は萩原健一をモデルに作品を書いたといわれる。

「行き場のない愛」を考え続けてある時ふと、腑に落ちる。
 1984年、当時22歳のボクは、過去とも将来とも折り合いのつけ方が分からず、もがきにもがき、救いを求める様に本や映画や展覧会を見まくっていました。そんな中で出会ったのがこの作品。愛する家族を持つ男が、過去に付き合った女性と再会し、余命わずかなその女性へ愛を与えることを選ぶ。今の時代であればただ「炎上」するだけであろう「愛」を、キリキリとしたタッチで描きあげた作品。ダメンズな亭主を演じる萩原健一に対して、妻役の倍賞美津子がとびきり美しい映画でもあります。「行き場のない愛」に出会い、愛について考え続ける中、ある時腑に落ちる愛なんてものがあるようです。ボクの場合、30余年の時間をかけてしまったけどね。それも愛。

こいけ あみいご
イラストレーター。雑誌、広告等仕事多数。羽田空港にて小山薫堂氏と「旅する日本語」を展開中。本誌表2連載「恵比寿ガーデン図鑑」の絵と文を手がける。

小西康陽さん/作編曲家、DJ

サイの季節

ys57_creatorspick_4.jpg『サイの季節』
発売元:新日本映画社
販売元:ポニーキャニオン
価格:DVD¥4,104 Blu-ray¥5,076


恋い慕う女の口紅を塗る男。叶わぬ想いの強烈な表現。
 今年、渋谷の名画座で見た『サイの季節』という映画を挙げます。国外で亡命生活を送っているイラン人映画監督による作品です。愛の表現として印象に残っているシーンがあります。美しい人妻を恋い慕う運転手の男。夫婦が車の外に出た後、後部座席に落ちていた口紅を拾い上げ、手の中で弄ぶ運転手。そして運転席のミラーを傾けると、男はその口紅を自分の唇に塗る。叶わぬ恋の想いの表現として、強烈な一場面でした。愛とか恋の表現など、もうだいたい出尽くした、と思っていましたが、まだまだいろいろ、あの手この手を思い付く人たちがいるのだな、と感心しました。実話を基にしたストーリーだそうですが、それでもみごとな演出でした。

こにし やすはる
作編曲家、DJ。本誌創刊号から続く巻末連載での、風景や記憶に音楽が交錯するかのような語り口のエッセイは、もはや名人の域。札幌生まれ、恵比寿育ち。

ウィスット・ポンニミットさん/漫画家

シェイプ・オブ・ウォーター

ys57_creatorspick_5.jpg『シェイプ・オブ・ウォーター』オリジナル無修正版
12月5日発売(予定)
発売元:20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン
価格:¥2,057


違う生き物でも、愛は通じる。思いやりで、愛は深まる。
 去年、飛行機に乗った時にたまたま観て感動したのがこの映画。この作品についてぼくが特に愛を感じるのは、怖い顔でも、違う種類の生き物であっても、言葉が通じなくても、愛は通じるというところ。そして、思いやりを持つことで、関係が深まっていくところ。この作品を観て「こんな漫画みたいな映像もあるんだね」と思った。ぼくもこんな漫画を描こうという勇気が出た。この映画のおかげで アレクサンドル・デスプラっていう映画音楽の作曲家を知ることができたのもよかった。調べてみたら「あれ?僕が好きな映画のサウンドトラックをやってるじゃん!」と気付いて一人で興奮してた。みなさんも彼が手がけた映画、調べてみてね。

うぃすっと ぽんにみっと
本誌コミック連載「ハッピーマムアン」でもおなじみの漫画家。現在はバンコク在住で、日本とタイを往復しながら作品を発表し続けている。

辛島いづみさん/編集者&ライター

あ・うん

ys57_creatorspick_6.jpg『あ・うん』
発行・販売元:NHKエンタープライズ
問合せ:NHKエンタープライズファミリー倶楽部
電話:0120-255-288


ひとりの女性を守る男ふたりの絶妙の間合いに感じる愛。
 向田邦子脚本の『あ・うん』。後に映画化や再ドラマ化もされていますが、NHK「ドラマ人間模様」枠で放送されたバージョンがいちばん好きです。水田仙吉(フランキー堺)と水田たみ(吉村実子)の夫婦、水田の親友・門倉修造(杉浦直樹)の3人の関係で、仙吉と門倉が、たみを守る狛犬の「阿」と「吽」である、という愛の物語です。初見時は小学生で、大人の恋の話はよくわかりませんでしたが、今になって「大事なことは言わない」ということの本当の意味を理解しました。温泉宿のシーンで、仙吉と門倉は酔い潰れて寝ていて、真ん中にいるたみが、コタツの中で自分の足を何度も門倉にくっつけようとしてやめる描写がなかなかもう、シビレます。

からしま いづみ
編集者&ライター。2002年に故・川勝正幸氏と川勝プロダクションを設立し、ポップカルチャーに深く関わってきた。2006年より本誌映画コラムを執筆。

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