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大人だって虫が好き! 昆虫ワールドへようこそ。

童心に帰りつつ、知的好奇心も満たしてくれる昆虫の世界。虫好きで知られる奥本大三郎さんと“虫ドル”として活躍中のカブトムシゆかりさんに、大人のための虫の楽しみ方をうかがいます。

Text by Tomoko Yabe, Photos by Kaoru Fukui

右/奥本大三郎(おくもと だいさぶろう)
仏文学者。埼玉大学名誉教授。NPOアンリ・ファーブル会理事長。先日30年の歳月をかけた『完訳ファーブル昆虫記』全10巻を上梓。
左/カブトムシゆかり
自身の"虫ライフ"を綴ったブログがきっかけでスカウトされ芸能界デビュー。自宅でカブトムシをはじめとする多種の虫を飼い育てている。

対談場所は奥本さんが館長を務める「ファーブル昆虫館 虫の詩人の館」。文京区千駄木にある、虫好きの夢の館だ。昆虫採集などのイベントも行われる。開館は週末のみ。www.fabre.jp

ゆかり 4年前に初めてお会いしたのも、ここでしたよね。『ファーブル昆虫記』をずっと愛読していたので見学に訪れたのですが、たまたま先生がいらしてて。

奥本 そうでしたね。

ゆかり そのときチョウを散りばめたデザインのTシャツを着ていたんですが、先生が「これは○○チョウ、これは××チョウ」ってひとつずつ言い始めて。「すごい!本物の奥本大三郎だ!」と思ったのを覚えています(笑)。

奥本 そのあと、テレビ番組でもご一緒しましたね。「ゆかりちゃんのことどう思いますか?」って試すようなこと聞かれて、「彼女は本物です」ってお答えしたんです。名前が変わってるから、ほんとに虫好きなのかなって怪しむ人がいるけど、しっかりした知識をお持ちだから。

ゆかり ありがとうございます。ところで、先生がお好きな虫をひとつ挙げるとしたら?

奥本 糞虫ですね。

ゆかり フンコロガシが有名ですね。

奥本 そう、スカラベ・サクレ。エジプトの神様だ。ファーブルが熱心に研究してたこの虫は、形も習性もおもしろいんです。ゆかりちゃんは?

ゆかり 私は最初に好きになったのは、名前にもしているカブトムシでした。小さい頃から、庭にいる虫を追いかけてたんですが、チョウもテントウムシもバッタも逃げるじゃないですか。でもカブトムシは逃げないんです。その堂々とした姿を見て「なんてカッコいいの!」と。

奥本 風格に惚れたんだね。

ゆかり 虫に恋した瞬間でした。

奥本 よく、いつから虫を好きになったのかと聞かれるんですが、物心ついたときからですよね。異性を好きになるのと同じで、理由なんて説明できませんよ。

ゆかり 私も、気がついたら好きになっていました。ガーデニングが趣味で虫好きの母がいろいろ教えてくれたことも大きかったと思います。

奥本 私は今でも「家に帰ったら虫をやろう」と会議なんかの退屈さにも耐えています。標本作ったり、世話をしたり、ただ眺めたり。虫のために時間を使うのが楽しい。先日、30年かけてやっと『完訳ファーブル昆虫記』が完結したので、老後はいよいよ......と思っていたんですが、次は伝記をやることになって。なかなか時間がとれないんですよ。

ゆかり 時間がたっぷりあったら、やりたいのはやはり採集ですか?

奥本 そうですね。たとえばチョウを捕るには、チョウがどういう目的で飛んでいるかを考えて、次の動きを予測し空中でばさり。この空中戦を制したときの快感は大きいです。
これからの時代は、ドローンとかで虫捕りできるようになるかもしれないけど、やっぱり汗をかいて捕虫網で捕るのが一番だと思う。

ゆかり 虫を趣味にしている「虫屋」の中でも、楽しみ方はいろいろ。私は虫を育てたり、写真を撮って楽しんでいます。写真をSNSにアップして反響があると嬉しいですね。あとSNSをはじめて、虫好きのお友だちもたくさんできました。でも私の世代は、虫嫌いの人が多くて。

奥本 ピカピカのマンションに住んでて、虫を見つけると親が大騒ぎするでしょう。それでは、昆虫好きの子どもは育ちませんよ。

ゆかり 友だちにクモを殺す理由を聞いたら「巣を作るから」って言うんです。でもハエトリグモは巣を作らないじゃないですか。

奥本 偏見に満ちてるよね。

ゆかり そういうとき、「この虫は悪さはしないよ」って説明すると、わかってもらえて無駄な殺生がなくなる。そういう知識を得る場所って大事だなと思っています。

奥本 知ることは大切ですよね。都会にも公園、河川敷、空き地、お墓とか、虫が集まる緑地はけっこうあるんです。子どもも大人も、そういう場所で観察したり触ったりして昆虫に興味を持つことが、自然を感じとる最良の方法だと思っています。

Books to read

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(左)奥本大三郎、養老孟司、池田清彦が監修した『ぼくらの昆虫採集』(DECO)。採集から標本作りまで詳しく解説された本格指南書。
(中)『カブトムシゆかりの虫活!虫と私の○○な生活』(文一総合出版)。著者の虫への愛と情熱がぎっしり詰まった一冊。
(右)クリストファー・マーレー著、奥本大三郎監修の『世界一うつくしい生物図鑑』(世界文化社)は、宝石のような虫のビジュアルが圧巻。

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