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坂を下れば 第1話 風花

恵比寿新聞編集長 高橋ケンジの
”恵比寿00's 小説”

毎日がカオス。動物園のような夜が繰り広げられていた。

 「ゼストの裏に同級生がお店を出したの」。当時付き合い出した彼女がそう言った。実は恥ずかしながら僕は彼女のことが好きすぎて近くに居たい一心で恵比寿に引っ越して来た。住み始めて丁度2年ほどになる。彼女の同級生のお店の名前は「風花」。カウンターだけの小さなお店。もともと映像制作をやっていたみっちゃんという女性が切り盛りしていた。オープン当初はまばらだった客も半年するとあっという間に盛況に。というのもこのみっちゃんのたぐいまれなる人同士をつなげる特殊能力のおかげで変わった人たちが集まり始めていた。例えばレコード会社の社長や絵描きから近所の八百屋のおやじや寿司屋の女将と毎日がカオスな動物園のような夜が繰り広げられていた。

 知らない者同士朝まで飲み明かすなんてざら。気づけば毎晩のように風花に出入りするようになっていた。ある日のこと。常連でデザイナーのピーさんとカメラマンのジュンジュンとくだらない話をしながら飲んでいた。「あそこの定食屋のおやじにまた朝から飲まされて。あれ自分が飲みたいんじゃないの?(笑) 恵比寿って湧き出るように面白い人がいっぱいいるからそういう人を取材するメディアやれば面白くない?」という話題で盛り上がっていた。「だったらジュンジュンもカメラマンだしできそうだね!」とみっちゃん。この手の悪だくみは必ずみっちゃんが背中を押す仕組みだ。「じゃあまずは四の五の言わずにやってみますか? でもメディアの名前は?」「そうねー。恵比寿の人が題材だから恵比寿のニュースだし"恵比寿新聞"ってのはどう?」とそのままほろ酔い加減のノリで決定。その時CURTIS MAYFIELDが歌うYOU'RE SO GOOD TO MEという曲がお店で流れていたと思う。夜と朝の間。それが恵比寿新聞の始まりでした。

今回の舞台
風花 東京都渋谷区恵比寿1-22-10 カマスヤビル 1F
今年で17年の老舗。おすすめはエビスビールに合う一品グランプリでも受賞した麻婆豆腐。
写真は2周年記念パーティーの様子。

高橋ケンジ(たかはし けんじ)
『恵比寿新聞』編集長。2009年より恵比寿の情報ハブとして、また地域の人と人をつなぐ拠点としての役割をになってきた。恵比寿の人・店・出来事をディープに取材し、日々発信し続けている。https://ebisufan.com/news/

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