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第16回 杉浦邦恵

作品に表れるアーティストの生き様

《飛び跳ねる D ポジテイブ》 1996年/調色されたゼラチン・シルバー・プリント/作家蔵

 ビジネス書の流行をチェックすると、同時代人たちの幸福観が見えてきたりするもの。最近では「好きなことを仕事に」「リスクを取れ」「自律した個人になろう」といった論調が多いように感じるが、まさにこの三つが求められるのがアーティストという職業ではないだろうか? 

 杉浦邦恵は写真芸術の可能性にいち早く着目した作家として知られるが、活動の軌跡はまさにリスクテイクの連続。1967年、二十歳の彼女は御茶ノ水女子大学物理学科を退学して渡米し、シカゴ・アート・インスティチュートに入学することを決断。当時は珍しかった写真学科を専攻し、ニューバウハウスの流れをくむ教授たちに薫陶を受けたという。

 卒業後、ニューヨークに拠点を移した杉浦は、カンバスに写真イメージを定着させたフォトカンバス作品を、若手作家の登竜門としても名高いホイットニー美術館のアニュアル展に出展(1972)し、植物や生物をモチーフにしたフォトグラムのシリーズで、最新の写真動向を紹介するニューヨーク近代美術館の「New Photography 13」展(1997)に参加している。傍目には着実に実績を重ねてきたようにも見えるが、道を拓いてきたその裏には実験と失敗の泥臭い繰り返しがあったはずだ。

 そんな彼女の日本における初の回顧展となる「杉浦邦恵 うつくしい実験 ニューヨークとの50年」展は、挑戦的な作品の数々とともに、一人のアーティストとしての生き様も大きな見所になっていると言えるだろう。

杉浦邦恵 うつくしい実験 ニューヨークとの50年
会場 東京都写真美術館 2階展示室
会期 7月24日(火)~ 9月24日(月・振休)
TEL 03-3280-0099
URL https://topmuseum.jp

文・富田秋子
フリー・エディター&ライター。東京都写真美術館の広報誌「eyes」とWebサイトにて、杉浦邦恵展のインタビュー記事を担当させていただきました。貴重なお話から浮かび上がる激動の作家人生を、ぜひチェックしてみてください!

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