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第15回 中山岩太

日本のモダニズム写真に見る作家たちの葛藤

中山岩太《・・・・》 1932年 中山岩太の会(兵庫県立美術館寄託)蔵

 第二次世界大戦前、写真は技術の向上とともにメディアにおける影響力を世界的に拡大しつつあり、芸術写真の領域でも他ジャンルにはない機械性を生かした新しい表現を追究しようという機運が高まっていた。その影響は日本にも及び、「新興写真」と呼ばれて、アマチュアを中心に盛んに実践されたのだが、伝説の写真同人誌『光画』が創刊されたのは、そんな動向の只中となる1932年のことだった。掲載作品の多くは、今見ても古さを感じさせない野心的なものばかり。2年足らずの間しか発行されていなかったにも関わらず、後世に多大な影響を与え続けてきた。

 中山岩太は、野島康三や木村伊兵衛とともに『光画』の創設メンバーとして参加した写真家だ。ニューヨークのスタジオで働き、パリでマン・レイらと交流した後に帰国した彼は、海外の動向を直に知る希少な存在だった。グラフィックデザインに興味がある方なら、「福助足袋」の広告写真を制作した作家としてご存知かもしれない。

 東京都写真美術館では、この「新興写真」のムーヴメントに着目した展覧会「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」が開催中。広く社会全体に目を向ければ、モボ・モガに代表されるような進取の気風が謳歌された時代にも重なるが、中山をはじめこの時代に生きた写真家たちの作品を目の前にすると、世界と日本、美意識と機械性、個人と社会など、様々な価値観の間で葛藤する彼らの切迫感が伝わってくるようだ。 

『光画』と新興写真 モダニズムの日本
会場 東京都写真美術館 3階展示室
会期 ~5月6日(日)
TEL 03-3280-0099
URL https://topmuseum.jp

文・富田秋子
フリー・エディター&ライター(展覧会カタログ制作、雑誌記事執筆、Webサイト制作など)。フランク・ホーヴァトやウィリアム・クラインなど、ここのところ卒寿を迎える写真家の展覧会が国内で相次ぎ、来日した作家たちのあくなき創作意欲に触れて、刺激を受けています!

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