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第14回 ウジェーヌ・アジェ

伝説の写真家をめぐるストーリー

ウジェーヌ・アジェ《日食の間》 1912年 東京都写真美術館所蔵

 19世紀末から20世紀の初頭、一人の男が自身の体の半分ほどもある旧式の大型写真機を背負い、パリの街を撮影して歩いていた。彼の生業を今風の言葉で言えば、素材写真カメラマンといったところだろうか。舞台俳優をしていたこともある彼は、「芸術家のための資料」という看板のもと、写真を売って生計を立てていたという。名はウジェーヌ・アジェといった。

 近所に住むアメリカ人女性写真家のベレニス・アボットが彼を"発見"したのは、亡くなるわずか2年前のことだ。彼の写真に写っていたのはパリ市街にある通りの一つ一つや職人たちが腕をふるった建具の装飾、さまざまな職業の人物像など、つまりは失われつつあるパリの姿だった。被写体を精緻に記録しながら、同時に写真ならではの芸術的表現を実現していたことに、"発見者"たちは強い感銘を受けた。日食を見上げる人々をとらえたあの有名な写真が前衛の美術同人誌「シュルレアリスム革命」に掲載されたのは、アボットがマン・レイのアシスタントだったからといういきさつは有名だ。

 そんなアジェの作品世界を紹介する展覧会「アジェのインスピレーション ひきつがれる精神」が東京都写真美術館で開催中。今も謎の多い伝説的写真家の人生と、作品に写る100年前のパリやそこに生きた人々、そしてそれらの作品群に写真の原点と未来を見出したフォロワーたち......さまざまな次元の物語が交差するアジェならではの魅力を、この機にぜひ堪能してほしい。

アジェのインスピレーション
ひきつがれる精神

会場 東京都写真美術館 3階展示室
会期 12月2日~2018年1月28日
   (12月29日~1月1日は年末年始休館)
TEL 03-3280-0099
URL https://topmuseum.jp

文・富田秋子
フリー・エディター&ライター(展覧会カタログ制作、雑誌記事執筆、Webサイト制作など)。「無垢と経験の写真 日本の新進作家 vol.14」展(東京都写真美術館にて12/2~)は期待の重要作家をフィーチャーした内容で、こちらも超オススメです!

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