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少女たちの"本当の瞬間"をとらえた傑作

 小学生の頃。ドッジボールの組み分けは、じゃんけんで決めていた。クラスの中心人物2人が、じゃんけんで「花いちもんめ」的にチームメイトを選ぶのだ。「とりとりじゃんけん(とりじゃん)」と言っていた記憶がある。選ぶ基準は、運動神経より「好き」順。韓国でもそれは同じらしい。映画『わたしたち』は「とりじゃん」シーンから始まる。最後まで名前を呼ばれない少女、小学4年生のソンが主人公だ。

 地味な見た目がいけないのか、みんなと同じように塾に行ったりスマホを持ったりしていないからか、クラスの中心的存在の少女ボアから無視され、ハブられているソン。1学期最後の日、ひとり居残って教室の掃除をしていたソンは、転校生のジアと出会う。2人はすぐに仲良くなり、夏休みを一緒に過ごす。貧しいけれど母や弟と仲がいいソン、裕福だが両親が不仲のジア。母に甘えたいジアの心に、ふと、嫉妬の心が芽生えてしまう。そして2学期が始まると、ジアはソンによそよそしくなり、ボアと仲良くなってしまう。

 ユン・ガウン監督の女性らしい繊細な絵作りや、ペールトーンの美しい色彩、そして、クローズアップのカメラワークでとらえた子どもたちの自然な演技におどろかされる。それはまるでドキュメンタリー映画のよう。監督は、自身の小学生時代の体験を元に、「真実の話の中の、本当の瞬間を追求したい」と、台本を与えず、その場その場で台詞を与え、子どもたちにも考えさせながら演技指導をしたという。

 10歳の少女たちにとって「わたしたちの世界」はとても小さく、ときに残酷だ。「友だち」を巡り葛藤する彼女たちをぎゅっと抱きしめたくなった。

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わたしたち[9月23日(土・祝)公開]
監督:ユン・ガウン
主演:チェ・スイン、ソル・ヘイン、イ・ソヨン、カン・ミンジュン、チャン・ヘジン
場所:YEBISU GARDEN CINEMA (恵比寿三越となり)
TEL 0570-783-715 http://gardenplace.jp/cinema

文・辛島いづみ
フリーの編集者&ライター。松本隆対談集『風待茶房』、文筆家せきしろの自伝的小説『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』を編集。マイク・ミルズの映画『20センチュリー・ウーマン』の劇場用パンフレットも編集。

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