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第11回 山崎博

アヴァンギャリストが追求した純粋な映像イメージ

〈CRITICAL LANDSCAPE〉より1985年 作家蔵

 歳を重ねる利点の一つは、時代は繰り返すという真理を身をもって知ることにあると言ったらすこし大げさだろうか? 世をにぎわせている流行もいつか来た道、みな経験済みとなれば心は余裕だし、だからこそ、それでも進展していく社会の背後には、個人の葛藤が数え切れないほどあると理解できるようにもなるのではないか?

 もちろん、アートも例外ではないだろう。およそ1世紀前に西洋で設定されたファイン・アート(建築や絵画など)とそれ以外というヒエラルキーは今や完全に崩壊したけれど、その過程でどれほど多くのアーティストがもがいてきたのだろう?

 70年代から写真や映像を使い作品を制作してきた山崎博(1946-)は、おそらく筋金入りのアヴァンギャリストだ。自宅の窓で風景を撮ると決めたら、必ずそこで撮る、もしくは、ありふれた海の景色をきまった時間に撮影するという制作のルールを自身に課してきたのは、「被写体を探して撮る」ことや制作上の作為を徹底して回避するためであったという。意味付けが入念に排除され、イメージそのものに純化された写真や映像作品は、前衛として時代を牽引してきたと同時に、普遍的な存在感をも獲得している。

 現在、70代後半を迎えた彼の作家人生をふり返る本格個展「山崎博 計画と偶然」が開催中だ。写真や映像が先端メディアとしての立場を手放した現代だからこそ、より一層山崎の活動や作品群が意義深いものと理解できるだろう。

総合開館20周年記念 山崎博 計画と偶然
会場 東京都写真美術館 2階展示室
会期 〜2017年5月10日
TEL 03-3280-0099
URL http://topmuseum.jp

文・富田秋子
エディター&ライター。現在没頭中のお仕事は......二条城など京都市内各所の貴重な空間を使い、ロバート・メイプルソープや荒木経惟等々の写真展を開催する『KYOTOGRAPHIE京都国際写真祭2017』(4/15〜5/14)。春の京都とともに楽しめるイベントです!

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