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申し訳ないほど簡単で美味。シラスのアヒージョ

 相模湾沿岸に引っ越すまでシラス漁に禁漁の期間があるなんて知らなかった。それもお正月から三月上旬まで。かなり長い禁漁期間だ。なぜそんな期間が設けられているのか。知り合いの漁師さんに訊ねたら、その訳はなんと稚鮎の保護。川で生まれた鮎はやがて海へ下り、川を遡上する春まで海で暮らすのだという。

 春は湘南シラスが一番美味しい時期だと漁港の鮮魚店のおじさんは誇らしそうに胸を張り「ごはんにのっけて食べてもいいし、かき揚げにしても旨えよ」そう言いながらいつもおまけに生シラスをくれる。

 おじさんが言うように何度かやってみたけれど、どうも私は生シラスが苦手らしい。かき揚げは好きだけど、どうもからりと揚げられない。生シラス苦手だなあと思いながら、断ることもできない私。苦しい。

 ある時ひょいと思い出したのは、昔々、バルセロナのバルで食べたことのあるアヒージョ・アル・アングーラス(シラスウナギのアヒージョ)のこと。シラスウナギとシラスでは大きさも値段もずいぶん違うけど、似たようなものができるんじゃないか。やってみたら美味しかった。以来喜んで生シラスをもらうように。

 アヒージョとはニンニク風味という意味の料理名。オリーブオイルとニンニクと鷹の爪を入れた小鍋の中で好きな具材を弱火で煮込む。ただそれだけの料理なのだがなんともたまらなく旨いのである。ニンニクの香りと具材の旨味が溶け込んだオリーブオイルの中に焼いたバゲットを浸して食べてごらんなさい。「こりゃ旨い」アナタも多分そう言うはず。

 具材もオイルも楽しむのがアヒージョの意義ある食べ方。エビ、イカ、マッシュルーム、アサリ、ブロッコリ、ミニトマト、稚鮎など、なんでもいいから入れてみて。申し訳ないほど簡単にパンチの効いた美味しい一品が誕生します。友人たちとのごはん会なんかにオススメです。

シラスのアヒージョ
作り方(2人分)
1. ニンニク(1片)を薄く輪切りにする。
2. 小さな鍋(カスエラという耐熱の陶器があったら理想的だけど、普通の小鍋でもOK)にオリーブオイル(大さじ4)、塩(適宜)、スライスしたニンニク、鷹の爪(2本)を入れ、弱火で4~5分煮る。
3. ニンニクがキツネ色になったら、シラス(50g)を加えて一煮立ちさせる。
4. ニンニクの香りとシラスの旨味が溶け出したオリーブオイルを浸したバゲットをつまみにセルベッサ(スペイン語でビールのこと)をクイ~ッと飲む。これは最高にうまい!

こぐれ ひでこ
イラストレーター&「食」「暮らし」に関するエッセイストとして「読売新聞」「MYLOHAS/ごはん日記」などに執筆中。2月に古希を迎えた。70歳、私が70歳?何かの間違いでしょと言ってみるが、鏡に映る私の顔は確かに70歳のおばあちゃん。キリのいいこの年にこれからの生き方をあれこれ考えてみるつもりです。

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